2005年07月22日

独議会解散の影響


独大統領、議会を解散…9月18日に総選挙設定(読売新聞)

 【ベルリン=宮明敬】ドイツのケーラー大統領は21日夜、全国民向けにテレビ演説し、同日付で連邦議会を解散し、繰り上げ総選挙を9月18日に設定したことを明らかにした。

 (中略)

 シュレーダー首相は今年5月、最大州の議会選で自らが率いる社民党が敗れたのを機に、任期を約1年残して繰り上げ総選挙を実施すると表明。議会解散の手段が首相信任案の否決しかないため、今月1日の連邦議会で、自身の信任案を与党議員の棄権によってわざと否決させ、大統領に解散・早期選挙を要請していた。

 (中略)

 国民の70%以上が早期選挙を望み、解散しなければ政治的混乱も予想されただけに、ケーラー大統領は法律家の懸念より政治的安定を優先したと言える。

 最新の支持率調査では、保守系野党のキリスト教民主・社会同盟が42%、社民党が27%で、政権交代の可能性が大きくなっている。
(2005年7月22日10時28分)

 ここで政権交代が実現すれば、保守化しつつあるフランスと共に米国との関係が修復される可能性がある。ドイツとフランスは米国のイラク攻撃に反対し、対中武器禁輸解除に賛成するなど米国や日本の国益とは対立する政策を支持してきた。

 その傾向に変化が見られるとよいが、政権交代に合わせた対独政策を実施するならば08年までに完了せねばならない。なぜなら、次の米国の大統領選挙では民主党が勝つ可能性があるからだ。

 おそらく、次期選挙の民主党候補はヒラリー・クリントン上院議員だろう。クリントン議員に対抗できる共和党候補はジョン・マケイン上院議員くらいではないかと考えている(シュワ知事は移民のため除外)。

 さらに私は、政権交代で日本としてもいくらかの恩恵が得られると考えている。Daily Yomiuriの記事によれば、キリスト教民主同盟(CDU)の党員のでもあるChristian Wulff ニーダーザクセン州首相は大阪市長を訪問した際、日独間の経済協力を推進する考えを表明している。

 Daily Yomiuriは続けて、このWulff氏は現CDU党首のAngela Merkel氏よりも首相の座に近いとも述べている。Wulff氏が首相になれば対日政策についても期待ができる。今年は『日本におけるドイツ年』でもあり、相互理解と経済協力の推進は歓迎すべきことだ。

 ドイツをはじめとするEU先進国では現在、東欧やアフリカ系の外国人労働者が大量に流れ込んだために国内の失業問題が深刻化しており、CDUは更なる労働者の流入を招く可能性があるトルコのEU加盟に反対している。

 移民政策にも一長一短があり、欧州諸国の問題はその内の短所が露呈した形だ。社民党の政策によってこれほどの問題が起きた以上、移民に対する悪感情を伴うであろう保守化も、ある程度は致し方ないのかもしれない。
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2005年07月18日

バレーボール中継に注文

 バレーボールの世界大会が終わったようだ。1勝4敗という残念な結果で幕を閉じることになったが、総じて健闘をしたといってよいと思う。いくつかのミスはあったものの、それを補うファインプレーも随所に見ることができた。

 転じて、中継の方法に関して二つほど注文をしたい。

・国歌演奏の際の解説
 試合前に両国の選手が整列し、国歌を演奏するが、この時に解説を入れないで貰いたい。国歌の演奏は国際試合の前に儀礼として行われるものであり、黙って耳を傾けるのが筋というものだ。NHKが行った大リーグの中継(恐らく)では国歌が流れた際に余計な声が入ることは無かった。NHKも妙なイデオロギーを持っているので外国に対してだけかもしれないが、これが国際標準だろう。
 国歌はBGMではない。その国の歴史を体現する崇高な歌であり、むやみに毀損をすることは許されるものではない。フジテレビの態度は、相手国代表に対しても日本代表に対しても非常に失礼なものと言わざるを得ない。

・アイドルの応援
 「NEWS」と称するアイドルグループが出ていたが、これも不要である。観客はバレーボールの試合を観戦するために会場に来たのであり、彼らの下手なショータイムを見るためではない。NBAでは試合の合間にショータイムが設けられているが、こちらはチーム専属の応援団によるものであり、一アイドルグループの売名のためではない。
 また、放送席で解説者の隣に座って愚にもつかないコメントを述べていたが、これも特に示唆に富むようなものではなかった。挙句、飲酒をして補導される始末である。視聴者に対して情報を提供するならば、解説をもっと増やしてもらいたい。選手の状態や試合の流れなど、視聴者が知りたいことは他にあるはずだ。

 テレビ局にとっては、スポーツの国際試合すらも視聴率を稼ぐ手段でしかないのだろうか。昨今のオリンピックやワールドカップの例を見ると、「スポーツの商業化」という流れはもはや必然とも考えられる。観客にとって、また選手にとってそれは良いことなのだろうか。
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2005年07月15日

国際貢献はプロ野球ではない


国際貢献参加で自衛隊と別組織…法案提出で民主一致(読売新聞)
 民主党は14日の総合安全保障調査会役員会で、国連安保理決議に基づく多国籍軍などに参加するため、自衛隊とは別組織を新設することなどを柱とした「集団安全保障基本法案」(仮称)を今国会に提出する方針で一致した。

 次期衆院選での政権公約(マニフェスト)にも明記する方向だ。

 同法案は、日本の国際協力や国際貢献の在り方を定めるもので、同党が昨年夏から検討していた。

 民主党はまだ懲りないらしい。小沢一郎氏が「国連待機部隊」なる国際貢献専門の組織を設立する提案をして国民の失笑を買ったのは記憶に新しいが、この種の提案の実現可能性や合理性を考えたことがあるのだろうか。

 理解できないことだが、そもそも派遣先が多国籍「軍」であるならば、なぜ事実上の「軍隊」である自衛隊を派遣してはいけないのか。多国籍軍が必要となるような状況とは、内戦状態で政府の権限が及ばないか、政府自体が機能していない場合だろう。そのような状況で、軍人でない人間が活動することはきわめて危険を伴う。

 このような状況における軍隊の利点はその自己完結性にある。軍隊は戦闘だけではなく、物資の輸送、陣地の構築、医療、人命救助などの様々な活動ををほかの組織に依存せずに独力で行うことができる。そして、当然ながらこうした能力の高い組織を維持するためには、多額の予算を必要とする。

 そのような「金のかかる」組織をもう一つ作ってしまおうというのだから、民主党の諸氏は官僚の無駄遣いを責められないはずだ。防衛庁webサイトによると、平成17年度の防衛予算額のうち人員・糧食費は2兆1,562億円であり、総予算額4兆8,301億円の44.6%を占める。そして、陸上自衛隊の15万人は、自衛官25万人のうちの60%を占める。従って、仮に国際貢献部隊の人員を2万人と見積もった場合、必要な人件費は約1,700億円、活動で使用する装備の維持費用を含めると、約4,000億円の予算が新たに必要になる。日本の国家予算の0.5%に相当する額である。さらに、これらの装備と人員の輸送に必要な艦船、輸送ヘリ、車両なども考慮すると、初年度の予算は8,000〜9,000億円程度となる。自衛隊とは別組織なのだから、装備を共用することは日本行政の体質からして無理だろう。云うまでもないことだが、国際貢献部隊が実現すればこれらの費用を負担するのは当然、国民の税金になる。

 国連待機部隊のときもそうだが、民主党は何か自衛隊に恨みでもあるのだろうか。海外派遣用の部隊を作りたいのなら自衛隊に専門の部隊を設置し、装備を整えれば災害派遣のときにも活用できる。事実、EUや米軍は常設ではないものの、緊急展開軍と称する有事即応性を備えた部隊を設置している。費用の面でも、人員と装備はすでにあるので防衛予算に少し上乗せして、訓練や部隊の維持に要する費用のみでよいことになる。国際貢献はプロ野球やJリーグではないのだから、一軍、二軍を作ることは全くもって無意味だ。


07/15追記
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2005年07月12日

日本製ロケットが高価な理由

M5ロケットの打ち上げが成功した。これを機に、日本の宇宙産業が活性化するとよいのだが。


エックス線観測、天文衛星「アストロE2」打ち上げ(読売新聞)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10日午後0時30分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から、エックス線天文衛星「アストロE2」をM5ロケット6号機で打ち上げた。

 順調なら、同2時30分ごろに予定軌道へ投入されたかどうか確認できる。

 国産大型ロケットM5の打ち上げは小惑星探査機「はやぶさ」を積んだ2003年5月の5号機以来、約2年ぶり。

 アストロE2は軌道上での全長6・9メートル、重さ1・7トン。天体から放射され、宇宙空間でしか観測できないエックス線を高い精度でとらえる高性能の科学衛星で、国産のものとしては5基目。00年2月に打ち上げ失敗した「アストロE」を作り直した。

 M5は固体燃料だけで飛ぶロケットとしては世界最大で、6号機は全長30・8メートル、重さ約140トン。

 秒読み後、爆音と白煙とともに太平洋上空へ飛び立った。第1段、第2段のロケットを切り離したあと、姿勢制御用の第3段ロケットに点火した。

 M5は、03年10月に統合されてJAXAになった旧・文部科学省宇宙科学研究所が開発。新体制下では最初の打ち上げで、6日の予定が天候不良により延期されていた。



まずは打ち上げの成功を喜びたい。日本の宇宙開発はH2ロケットの相次ぐ失敗によって将来が危ぶまれていたが、H2A6号機、7号機の成功でようやく次のステップへ進むことができる。

日本の宇宙開発はコストが高く、そのために先の失敗の際には宇宙開発事業団の存続さえ危ぶまれた。しかし、これには日本特有の事情がある。

私の通う大学で国際関係論を担当する教授の言によれば、宇宙開発先進国ではロケットの打ち上げを軍の予算で行っているという(例えば、NASAと米空軍には密接な関係がある)。衛星打ち上げ用ロケットの技術は基本的には弾道ミサイルを応用したもので、冷戦期に大量生産されたために量産効果によって低価格を実現できているとのことである。

確かに、現在宇宙開発を行っているのは米国、ロシア、EU,中国、そして日本だが、日本以外のすべての宇宙開発国は弾道ミサイルの保有実績がある。逆に言えば、弾道ミサイルの製造というロケット開発の「練習」がなければ、宇宙開発を独力で行うことはできない、ということになる。ちなみに、世界初の実用ロケットはナチスドイツの開発したV2で、ロンドンを空爆するための弾道ミサイルとして使われた。

翻って、日本では憲法上の制約から弾道ミサイルの研究ができず、予算はすべて科学技術庁(現文部科学省)から拠出しており、あまり多くの資金を費やすことができなかったというのが真相のようだ。

私は宇宙開発のために弾道ミサイルの研究をすることには賛成しない。非核三原則などはただの口約束に過ぎないが、IAEAからも信頼されている以上、積極的に核兵器を持つべき理由は存在しない。それよりも、ASEAN諸国などから低軌道衛星の打ち上げを積極的に受注し、ロケット打ち上げの経験としていくべきだと考える。
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2005年07月07日

英国爆弾テロの簡単な分析


ロンドンで連続テロ、90人以上死傷か(日本経済新聞)

 英国の首都、ロンドンの中心部で7日午前(日本時間夕)、同時多発テロとみられる複数の爆発が発生した。少なくともバス3台が爆破されたほか、地下鉄でも複数の爆破が起きたもようで、午後1時(同午後9時)現在、少なくとも90人程度の死傷者がでているもようだ。英北部グレンイーグルズで主要国首脳会議を主催しているブレア英首相は緊急声明を発表、「連続テロが起きたことは確実」との見方を示した。欧州株式相場や原油価格が急落、市場も混乱を極めている。

 ロンドンの日本大使館は日本人の爆破事件の影響について調査中だが、正午現在、日本人が巻き込まれたとの情報はない。ロンドンには観光者を含めて8万人程度の日本人が滞在しているとされる。

 午前8時50分ごろ、通勤客であふれる地下鉄のリバプール・ストリート駅とオルゲート駅の間で爆発が起きた。地下鉄での爆発は市内東部の金融街シティーに近いリバプール・ストリートやモアゲートのほか、キングスクロスなど5カ所程度との見方がある。


サミット開催中を狙ったテロ事件。死者は少なくとも2人との事だが、さらに増えるだろう。21時のNHKニュースによると、犯行を行った『欧州の聖戦アルカイダ組織』が声明を発表し、「英国がアフガニスタンやイラクで行ってきた殺戮に対する報復だ」と述べた。また、ブレア首相は予定されていた小泉首相との首脳会談を中止し、直接事態の収拾に当たるという。

犯行声明文が映像で流れたが、プロのテロリストによるものと見て間違いないと思う。別にアラビア語が読めるわけではないが、算用数字で書いてあった日付にヒジュラ暦(イスラームの暦)があったため。

爆発物の威力とサイズを考えると、使用されたのはおそらくC4やセムテックスなどの軍用爆薬だろう。過去の爆弾テロ事件で何度か使われた事例がある。今のところは情報が少なく即断はできないが、可能性は低くない。今後の動向を注視したい。

犯人の逮捕は勿論だが、そのためには出国ルートの監視強化、爆薬の入手経路・資金源・背後関係の特定などの捜査が必要になる。無関係の市民を標的にした許しがたいテロ行為であり、首謀者の早期逮捕を望む。
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2005年07月04日

太陽をこの手に(後編)


(承前)

今回、日本は巨額の財政負担を嫌ってITERの誘致を断念したが、その見返りとして材料関連施設の建設や機構長のポストなど、多くの見返りを得ることになった。だが、6月29日の読売新聞朝刊4面によると、組み立てや運転に関わるノウハウの多くはフランスが手にすることになると見られており、日本の技術が流出することを懸念する声もあるという。

EUは遠隔操作施設や機構長のポストを失ってでも本体を得る必要があった。それだけの価値が炉本体にあるというよりは、読売新聞の記事が示すとおり、本体の組み立ての他、日本が持つ超伝導コイルやプラズマ制御に関する技術を一挙に吸収できるということだろう。空自がF-2支援戦闘機を開発した時も、独自開発の予定が米国に横槍を入れられて日米共同開発となり、挙句の果てにアクティブ・フェーズドアレイ・レーダーや主翼の炭素繊維一体成形などの独自技術を米国に吸い上げられてしまった。今回の誘致断念はF-2に続く日本外交の失敗といえる。

ITERの誘致に関する問題は以前から協議が行われていたが、自国の将来が懸かっているために双方の主張は平行線をたどっていた。EUは日本に対し、手を引かなければ独自に実験炉を建設するとまで主張した。さらに、「軍事情報」のメールマガジンで述べられていたことだが、シナ(原文ママ)による「えげつない」反対工作があったという。韓国は中国(シナ)と同じ反日国にもかかわらず日本を支持していたが、これはおそらく、地理的な利点を優先した結果と見られる。では何故中国が欧州支持に回ったかというと、対中武器禁輸解除に関わる騒動が示すように、欧州諸国との経済的なつながりが大きかったためと推測する。

本来、人類の未来を担うべき技術研究に政治的事情を持ち込むことは好ましいこととはいえないが、先日のエントリでも書いたように、EUの横車を押すようなやり方には抗議をしなければならない。

ITERの誘致には失敗したが、日本が主導する炉壁材料に関する研究で成果を出し、核融合発電の実現に一役買う事ができればよいと思う。
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2005年06月30日

太陽をこの手に(前編)


熱核融合実験炉本体の建設地、仏・カダラッシュに決定(読売新聞)

 【モスクワ=五十嵐孫一】太陽で起きている核融合反応を人工的に起こし、新しいエネルギー源を開発する国際熱核融合実験炉(ITER)計画に参加する6か国・地域の閣僚級会合が28日、モスクワで開かれ、ITER本体の建設地がフランスのカダラッシュに決定した。

 欧州連合(EU)と誘致を競ってきた日本は断念した見返りとして、EUとの折半出資による関連施設の建設や、本部組織となる「ITER機構」の機構長ポストなどの優遇措置を得た。

 関連施設の建設地は青森県六ヶ所村が有力だ。1985年の米ソ首脳会談で合意されて以来20年を経て、ようやくITERは現実化へ動き出す。

 会合に参加した中山文部科学相は共同記者会見で、「日本は準ホスト国として、欧州と並ぶ重要な国際研究拠点として、核融合開発に貢献できる」と述べ、関連施設誘致の意義を強調した。

 6者の共同宣言は、誘致できた国とできなかった国の役割分担についての日欧合意に「留意する」として、日欧合意文書を添付した。添付文書は、日欧がそれぞれ出資して日本に関連施設を建設することを明記。関連施設の候補として、遠隔実験研究センター、次世代炉(原型炉)設計研究センターなどを例示し、日本が選択して建設するとしている。

 関連施設について、文部科学省の坂田東一研究開発局長は28日、日本がITER建設地の誘致先として青森県六ヶ所村を推してきた経緯を踏まえ、「まずは青森県と相談し、県の意向を踏まえて対応する」と述べた。県側が関連施設の建設を求めるのは確実なことから、建設地は六ヶ所村となる公算が大きい。


ITERは簡単に言えば、『夢のエネルギー』とされている核融合発電の実験装置である。ドーナツ型の炉心の中で、5億度に加熱した水素原子同士(正確にはその同位体である重水素や三重水素)を衝突させてエネルギーを生み出す。しかし、その実現には多くの技術的困難を伴う。

一定量の濃縮ウランがあれば勝手に反応が進んでくれる核分裂と違い、核融合はまず反応を起こさせるのが極めて難しい。光速に近い速度で水素を衝突させないと核融合は起こらないからだ。一般的に、気体を加熱すると気体分子の速度は上がるので、分子の速度を速くするには気体を加熱してやればよい。

また、燃料である水素は高温高圧のプラズマ状態で存在しているので、壁と接することが出来ない。そこでITERでは外側から磁力をかけることによってプラズマをドーナツ型の中心部に浮かせて、壁が溶けるのを防いでいる。このプラズマを安定に制御することが核融合炉を実用化するための第一の課題である。

加えて、反応の過程で発生する中性子が炉の内壁と衝突することで、壁がもろくなってしまうという問題がある。この中性子に耐える、あるいは中性子を吸収する壁を作ることが第二の課題といえる。

ITER本体の建設にこれほど拘る理由は、日仏ともに自国のエネルギー安全保障のためである。石油と比べればまだ偏在性は小さいものの取れる場所が限定されるウランと違い,重水素は海水から採取することができる。つまり、海さえあればほぼ無尽蔵のエネルギーを手にするに等しい。なお、ITER参加国はすべて海を持つ。

(続く)
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2005年06月27日

今度の夕食は鯨


IWC総会:捕鯨支持国と反捕鯨国の溝埋まらず(毎日新聞)

 韓国・蔚山(ウルサン)で開かれていた国際捕鯨委員会(IWC)年次総会は最終日の24日、クジラを減らさずに商業捕鯨する約束事をまとめた「改定管理制度」について、反捕鯨国側が提案した「完成に向けた議論を促進する」との決議案を採択して閉幕した。日本など捕鯨支持国は「過去の議論の蒸し返しにつながる」と棄権。今年も捕鯨支持国と反捕鯨国の溝は埋まらなかった。次回総会は来年6月、カリブ海のセントクリストファー・ネビスで開かれる。

 日本が提案した「ミンククジラの沿岸商業捕鯨の実施」などは、いずれも可決に必要な4分の3に届かなかった。一方、「採決の無記名投票化」提案では、可決ラインの過半数まで、あと一歩の3票差にまで迫った。

 捕鯨支持国と反捕鯨国の加盟数の差は、80年代前半には20前後あった。しかし、途上国を中心にした日本の積極的な支持要請が実り、今年は「欠席国を含めれば、勢力は逆転した」(水産庁)という。

 日本は「一部の過激な自然保護団体などを恐れ、意見を言えない国が多い」とみている。採決を無記名投票化すれば、捕鯨支持国が急増する可能性もあると、来年以降に商業捕鯨再開への期待をつないだ。


先日のエントリの続きになるが、反捕鯨国が日本に鯨を捕らせない理由はもう一つある。それは自国の食肉産業を保護するためだ。特に米国や豪州がそうだが、彼らにとって日本は購買力が有り余る魅力的な市場なのだろう。そこで、日本に肉を買わせる為に鯨を捕らないよう圧力をかけるというわけだ。

自国の産業を保護することは否定すべきでないが、それと同時に自国だけではなく、相手の文化を尊重することもまた重視されるべきではないだろうか。例えば米国やカナダに住む先住民には一定量の捕鯨が認められている。これは彼ら先住民の生活のためだそうだが、日本にも捕鯨で生計を立てていた人々は多くいる。選択肢は両方を認めるか、両方を認めないかの二つに一つであり、ダブルスタンダード(日本語では『二枚舌』)を許すわけにはいかない。

今年の総会では特に進展が見られなかったが、今後には期待してよいと思う。大洋州諸国など捕鯨支持国は以前より確実に増えているので、5年後くらいには商業捕鯨が解禁される日が来るだろう。
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2005年06月20日

反捕鯨国の理不尽


豪、NZ、英国が日本の捕鯨拡大案を非難=IWC総会開幕(時事通信)

【蔚山(韓国)20日】国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会が20日、韓国の蔚山(ウルサン)で始まり、オーストラリア、ニュージーランド、英国の反捕鯨3カ国は南極海で調査捕鯨を拡大するとの日本提案に強い反対を表明した。(写真は豪州のシドニー湾に現れたザトウクジラ)

日本は同日、ミンククジラの捕獲枠を現在の2倍の約850頭に拡大し、ナガスクジラとザトウクジラについても捕獲数を増やす方針だとIWCに通告したことを明らかにした。調査捕鯨は約20年前の捕鯨モラトリアム(一時中止)の特別条項で認められているが、捕鯨反対派は、調査捕鯨を隠れミノにした商業捕鯨が行われていると見ていた。日本、ノルウェーおよびアイスランドはモラトリアムの廃止を望んでいる。

豪州のキャンベル環境相は、日本の調査捕鯨計画は暴挙だと決めつけ、投票で決めることになれば、「捕鯨の続行と拡大を望む諸国と、捕鯨を歴史の一こまにしようとする我々諸国との衝突になるだろう」と述べた。ニュージーランドのカーター環境保護相は、同国は南極海のクジラの虐殺を倍増させる日本の提案を全面的に拒否すると、歯に衣着せぬ表現で強調し、「調査」とは名ばかりだと非難した。

英国のブラッドショー漁業担当相は「(殺される)クジラに与えられる苦痛は全く受け入れられない。クジラを殺す人道的な方法はない。我々がクジラ保護政策を後退させれば、将来の世代は今回の会議を許さないだろう」と述べた。〔AFP=時事〕


国際捕鯨委員会、年次総会で無記名投票案を否決

 [蔚山(韓国) 20日 ロイター] 国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会で20日、日本が提案した無記名投票案が賛成27、反対30で否決された。

 同案には、捕鯨支持国が反捕鯨国を抑える狙いがある。

 反捕鯨国は、新規加盟したガンビア、トーゴ、ナウルの3カ国が採決に参加しておらず、捕鯨支持に回る可能性があることを指摘し、勝利宣言は時期尚早との認識を示した。

 反捕鯨勢力の世界自然保護基金(WWF)関係者は、「採決結果に安心したが、(総会が閉幕する)今週末までの新たな採決で形勢が逆転するかも知れない」とコメントしている。


毎年この時期になると気になるのは、IWC総会の動向だ。捕鯨推進派と反対派の溝は深まるばかりだが、反対派の主張は相変わらず『暴挙』とか『虐殺』といった感情的な表現で日本を悪者にしようとしている。私は食糧安全保障の観点から、商業捕鯨の再開を強く支持している。食料自給率の少ないわが国にあって、鯨は貴重なタンパク源だからだ。無論、乱獲によって頭数が減らないように一定の制限が加えられるべきとは思うが。

鯨は栄養があり、肉が大量に取れ、何より旨い。しかも脂身が少ないので、食べ過ぎてもあまり太らない。昨年に運良く食べることができたのだが、程よい柔らかさでコクがあり、大変に美味しく頂いた。

ほかの地域でも同じだろうが、日本近海の鯨が減少した原因は19世紀に進出してきた欧米諸国による乱獲が原因である。彼らはろうそくの原料である鯨油のためだけに鯨を取り、残りは捨ててしまう。逆に日本では鯨体のほとんど全てを余すところ無く利用し、さらに神様として祀っている。余談だが、ペリーが日本を開国させたのも捕鯨の中継基地として適当だったためだ。

欧米諸国が捕鯨をしなくなったのは、鯨油が石油に取って代わられ採算が合わなくなったからだ。引用記事でも英国の代表が鯨に対して与える苦痛を問題にしているが、ならば彼らが(我々もだが)日頃食べている牛や豚はどうか。牛や豚は人間によって食べられるために生まれ、育ち、そして殺される。自らの運命を知らない(=本質的に自由な)鯨のほうがまだましだろう。

欧米人が鯨を食べないのは彼らの宗教観や文化に基づいているそうだが、それならば日本の伝統文化である捕鯨を認めて然るべきだ。02年に開催された日韓W杯の時も欧米人は韓国の犬食を問題にしたそうだが、お互いに食文化の違いを認めることが何故できないのか。彼らに言わせれば犬や鯨を食べることは動物虐待だそうだが、ここで『カタツムリを食べる欧米人に言われたくはない』と主張するのはさすがに憚られる。

ともあれ、1日も早い商業捕鯨の再開を望む。

参考サイト:日本捕鯨協会
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2005年06月14日

高校爆弾事件に思う

ネット参考に自宅で製造か くぎで威力、殺傷能力検討(共同通信)

山口県光市の県立光高校で授業中の教室に火薬入りの瓶が投げ込まれ爆発し、生徒58人がけがをした事件で、県警は11日、傷害の現行犯で逮捕した同校3年2組の男子生徒(18)がインターネットなどを参考に自宅で爆発物を製造したとの見方を強めた。

爆発物は透明のジュース瓶に花火などをほぐした火薬を入れて、導火線に火を付ける簡単な構造。長さ1−2センチの小さいくぎ数十本や別の金属を詰め込んで威力を高めていたとみられ、県警は爆発物の殺傷能力を詳しく調べるなどして殺人未遂容疑での立件も検討している。

県警は男子生徒の自宅から段ボール数箱分を押収。押収物の分析を進めるとともに、爆発物を学校に持ち込んだ経緯を調べている。


小瓶程度のサイズの爆弾の場合は爆風がさほど強くならないためにねじ、釘、ベアリングなどを入れて殺傷能力を上げる方法はよく使われる。クレイモア地雷などがそのよい例だろう。火薬の入手経路も花火というごく常識的なものであり、威力を検証するために海岸で実験を行っていたという。間違いなくこの少年は計画的に犯行を行っていた。

しかし、いじめられた恨みを晴らすために相手に爆弾を投げつけるというのは短絡的に過ぎる行為だ。死者が出なかったのは不幸中の幸いにしても、無関係な多数の怪我人が出ている。

『どんな理由があろうと殺人は許されない』などという綺麗事を主張するつもりはないが、無関係な他人を巻き込んでする復讐に正当性はない。

私にも似たような経験があるので彼の気持ちが理解できないことはないが、なぜもっと穏健な方法を取らなかったのか。爆弾を作るくらいの実行力があるならば、合法的に相手の面目をつぶす方法を考えるべきだった。

また、この事件を契機に商店での花火の販売を規制するとか、ネットでの情報公開を規制するといった方向に世論が傾くことを懸念している。問題の本質はそうした材料の存在ではなく、なぜ彼がそれらを悪用するに至ったかということである。回転ドア事件や遊具での死亡事故など前例が数多あるだけにこの点を非常に憂慮している。
posted by 火銛 at 14:52| Comment(0) | TrackBack(2) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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