2006年01月12日

携帯防災のすすめ(その12)

 私が本記事群の執筆を開始した昨年8月以降、持ち運びができることを主眼に置いた防災セットがいくつか発売されている。いちいち自分で揃えるのが面倒だと考える向きはこういったものを用意しておくとよいのではないだろうか。

ポーチサイズなのにパワフル 超コンパクト防災セット 福袋セットポーチサイズなのにパワフル 超コンパクト防災セット 福袋セット

 上写真は500mlペットボトルと簡易浄水器、エマージェンシーブランケット、ドロップスのセット。怪我をした場合や閉じ込められた場合はまったく想定されていないが、とりあえず水と糖分を確保するためのセット、といったところか。しかしドロップスだけで長距離を歩くことは難しいと思うので、別途カロリー補給用の食料を用意する必要がある。

帰宅困難者の為の超簡易セット(外出用防災セット)帰宅困難者の為の超簡易セット(外出用防災セット)
 
 水と食糧だけでは心配な場合はこれを追加するとよい。ホイッスルとコンパス、ライト付きラジオ、イヤホンをカラビナに吊るすことができる。だが不思議なことに、上二者には同一の物品が存在しない。同じ帰宅難民用と銘打ってはいても設計思想には大きな違いがあるようだ。「超コンパクト防災セット」は必要な栄養を確保するため、「超簡易セット」は安全確保と情報収集のために考案されたものと考えられる。従って、上の二製品を併用することが望ましい。

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 こんなユニークな製品もある。非常時に必要な物品がすべてポリエチレン製の水筒に入っており、携帯するのに非常に便利だ。水筒を使うときは中身をスタッフバッグなどに移し替えれば問題ない。容積には少々余裕があるので、チョコバーなどの食料も入れることができる。私は、これが8月頃に発売されていれば買っていただろう。

 私が書いた記事の影響かどうかは定かではないが、こうした製品は少しずつ増えてきているように思える。しかし、携帯型の防災セットを準備して災害に遭遇した場合、周りの人から過度に頼られてしまう可能性がある。医薬品や食糧には限りがあるし、簡単に他人には貸すことのできないものもある。そんなときには恐縮しつつ断る以外にないのだが、周りの人々の精神状態あるいは健康状態によってはその後の人間関係に支障をきたす恐れもある。防災セットを常に携帯するには徹底した軽量化を図らなければならないが、そのためには余分なものを削る必要がある。つまり携帯型の防災セットには余裕がない。換言すれば、自分一人が助かる程度の能力しかない。
 
 この問題を解決するには、全員がこの防災セットを携帯することが必要になる。私は、自分一人が助かる程度の準備を全員がしていれば全員が助かると考えている。だからこの記事を見ている方々には、是非周りに紹介していただきたい。全員で生き延びるために。


01/13追記
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2006年01月08日

探せ!ハイドロコロイド

 携帯防災のすすめ(その1)で閉鎖湿潤療法について紹介したが、これを応用した製品がすでに「バンドエイド キズパワーパッド」として発売されている。湿潤療法を応用しているだけあってその効果は大いに期待できるが、従来の絆創膏と比べて高価で(大判6枚入りで780円程度)、手軽に使うには躊躇してしまう。

 バンドエイドのほかにもアルケア株式会社が発売している「リガードスキンケア」という製品がある。元々は摩擦などから皮膚を保護するための製品だが、バンドエイドと同じ材料が使われており、傷の保護にも使用することができる。価格はサイズが最も大きい「ワイド」が6枚入りで720円程度とバンドエイドより少々安価で、しかも広い面積を覆うことができる。しかしこの製品は取り扱っている店舗が非常に少なく、今のところ東京都内近辺ではICI石井スポーツ本店のみが確認されている。

 携帯防災のすすめ(その1)を執筆した当時、私は閉鎖湿潤療法に関していまだ認知度が低いことからその効用を疑問視していたが、実際に皮膚炎の治療に試してみたところ、傷の治りが通常より明らかに早かった。このときは普通のラップを被服に使用したが、定期的な交換を怠ると体質によってはかぶれることがあるようだ。ラップを持ち歩くのはCMだけにしておきたいが、ハイドロコロイド素材を利用すれば外出先で傷を負ったときも早く直すことができ、しかも痕が残りにくい。問題の価格は需要が増えればいずれ下がるので、今のうちから買っておきたいと思う。


リガードスキンケアーワイドリガードスキンケアーワイド
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2005年11月23日

携帯防災のすすめ(その11)


・帰宅訓練を終えて(続き)

 帰宅訓練の成果は防災セットそのものの改良にもつながる。まず、長時間の行動だったが実際にはそれほどバテを感じたわけではなく、足腰の痛みのほうが大きかった。これは私が大学でワンダーフォーゲル部に所属していることとも関連するかもしれないが、長距離の歩行による純粋な疲労は我々が想像するよりも小さいようだ。

 従って、非常食は純粋に帰宅のみを目的とするならそれほど多くなくてもよい。その9を読んで頂ければ分かるとおり、私は主要な非常食として携行した航空用救難食糧を全行程中1食しか消費していない。このwebページによれば、1時間のウォーキングでおよそ100kcalのエネルギーを消費するという。私は今回の帰宅訓練でおよそ8時間半歩いたので、850kcalのエネルギーを消費したことになる。航空用救難食糧は1食305kcalだから、8時間歩くためには2食もあれば十分ということになる。足りない分は飴やチョコレートなどの嗜好品で補えるので、3食以上、今回の私のように5食入りの缶ごと持つ必要はないといえる。

 ただし、その10で言及したように行程を2日に分けるなら、その分の食糧も余分に持って行く必要がある。すべてを自分で賄うならもう2〜3食分程度追加する必要があるが、避難所の当てがあるなら減らすこともできる。時間の経過により治安が回復し、避難所が機能し始めたら水も補給できるので、防災セットを軽量化したい場合は避難所の利用を前提としてもよいのではないかと思う。

 また、この行程中に消費した水は大体0.7〜0.8リットル程度である。ザックの脇に入れておいたペットボトル1本とプラティパスから少々水を飲んだので、予備を入れても水の量は1リットル程度で事足りることになる。重ねて述べるが、この数値は純粋に帰宅という本来の目的に限定した場合の量だ。混乱を避けるために被災した場所や会社、学校などに数日間とどまる場合は当然、これ以上の量が必要になる。

 帰宅用(携帯型)防災セットを使って20km以上の長距離を移動するなら食料を多く持つよりも水を入れるか、あるいは足腰の疲労低減のために何か対策を講じたほうがよいと思う。後者は具体的には靴に関連する事柄だが、興味のあるテーマなのでいずれ紹介する予定。
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2005年11月18日

携帯防災のすすめ(その10)

筆者注:今回の内容は前のエントリの続きになっているので、未読の方はその9を先にお読みください。

・帰宅訓練を終えて

 今回の帰宅訓練を元に避難時の行動を考えてみた。まず重要なのは、防災セットがあるからといって無闇に避難しようとしないことだ。大規模災害時には主要な道路で交通規制が行われる他、その道路が寸断されていることも考えられる。似たようなことを考える人は意外と多いもので、災害発生後しばらくすると、帰宅難民となった人々が数万人単位で主要な道路に殺到することも予想される。まずは落ち着いてラジオやテレビなどのメディアを通じて情報収集を行い、落ち着いて次にとるべき行動を決める必要がある。

 過去の記事では触れなかったが、徒歩で通勤・通学する人でも避難するときには地図が必要になる。というのも我々は普段、周りの建物の位置関係を見ながら道を覚えているので、建物が崩れる可能性が高い地震の場合には、その記憶が使えなくなってしまう。そこで、電柱や交差点名などから現在位置がわかる道路地図を1冊は用意しておくとよい。少し大きめの本屋に行くと文庫サイズの都市圏地図があるので、鞄の中に入れておくと安心できると思う。

 また、これは避難中に気づいたことだが、避難する道のりが20km以上に及ぶ場合は行程を2日間に分けるなど疲労を軽減する対策を採らないと、今回の私のように全身の筋肉痛に苦しむことになる。普段あまり運動をしない方ならばなおの事気を遣う必要がある。ただ、行程中に都合よく避難所があるとは限らないので、事前によく確認することが大事だ。下に紹介する地図には、東京、大阪の各都心から避難する場合の経路とその途中にある支援施設が方向別に掲載されている。ただ、掲載されている範囲がごく限られているので、そこから外れている地域に住んでいる人には不満の残る内容。


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2005年11月15日

携帯防災のすすめ(その9)


・帰宅訓練

 これまで十数回にわたって携帯できる防災用品を紹介してきたが、安全に帰宅するためにはぜひ一度、実際に歩いてみることをお奨めしたい。事前に決めておいた帰宅ルートを実際に歩き、非常時の視点から周辺を観察することで、万が一のときには安全に行動できる。「訓練は実戦のごとく、実戦は訓練のごとく」とはこういう意味なのだろうと考えている。

 私は横浜市の南の外れのほうに住んでおり、毎日電車を使って東京都世田谷区内にある大学に通っている。距離にするとおおよそ35km程度なので、歩く速度を時速4kmとすると8時間強という計算になる。ちょうど文化祭前の準備とやらで午前中のみの用事があったので、その帰りに帰宅訓練を行った。

 特に用事のない日にしなかったのは、実際の災害時に体調が万全だとは限らないと考えたからだ。瓦礫の除去や応急処置、さらには怪我などで帰宅できる時期には体力的にも精神的にも疲労していることが考えられる。電話の不通が続いていれば家族の安否も心配になる。そういうわけで、災害時にかかる負担には遠く及ばないが、実際に体に負荷をかけてみた次第だ。

 日時:平成17年11月3日(木)
 経路:武蔵工業大学→(多摩堤通り)→丸子橋→(綱島街道)→菊名駅→(旧綱島街道)→横浜駅周辺→(国道16号)→関内駅→(国道16号)→吉野町交差点→(鎌倉街道)→本郷台駅(自宅の最寄駅)→自宅
 天候:曇り時々雨

1150 出発
 多摩川沿いの住宅地を河口へ向かって歩く。午前中に行った作業は荷物運びで、さほどの負荷にはならなかった。30分ほどで丸子橋に到着し、多摩川を渡って神奈川県へ。橋を渡り終えると交差点が見えたので左に曲がる。その先に見えた標識には「横浜 19km」とあった。

1240 武蔵小杉駅付近で10分休憩
 丸子橋から菊名駅までは通学に利用している東急東横線に並行する形で歩くことになる。最近は女性専用車が入って乗りにくくなった…。閑話休題。駅近辺にあるスポーツクラブの入り口で小休止し、昼食代わりのグラノーラビスケットを頂く。水分は出発直前にプラティパスに入れた2リットルほどと、500mlペットボトルに入れた麦茶があるので、先に麦茶から消費した。

1325 日吉駅を通過
 この頃になって足の痛みを知覚し始める。日吉駅前は地下鉄の工事と大量の自転車が障害になり、迂回が必要になるかもしれない。

1340 北綱島交差点で10分休憩
 基本的には50分歩き、10分休憩というスタイルを繰り返して行動している。松下電工の建物があったのでその北側の交差点脇に座り込んで小休止。

1405 鶴見川を渡る
DSC00039.JPG 今回は最短距離を通る経路を選択したが、地震の際には橋が落ちていることも十分に予想できる。しかし、自主防災組織が渡し舟を行っていたり、大きな道路ならば自衛隊が橋を架けていたりする可能性もある。いずれにしても状況をよく見極め、臨機応変に対処したい。

1440 菊名駅で10分休憩
 私はこの時点で、予定より早く帰宅できると考えていた。しかしこの予想は次の行程で大きく裏切られることになる。

1540 神奈川工業高校付近で10分休憩、救難食糧Aを消費
 疲労からか、行動距離が少し短くなった。足の痛みはだんだんと無視できなくなりつつあり、以降の行程の険しさを予感させる。最大の難所になるであろう横浜駅はもうすぐだ。

1603 雨が降り出す
 反町駅を過ぎたあたりで雨が降り出した。通り雨のようだったのですぐやむと思っていたのだが、予想に反し雨足が強まったのでやむなく一時休止し、ザックカバーを用意した。もっとも、この後しばらくすると止んでしまったので全くの杞憂に終わったが。

 この後、横浜駅を迂回して六角橋を渡り、桜木町方面へ抜けるルートを取った。

1640 高島町交差点で10分休憩、救難食糧Bを消費
 雨はほぼ止んだが、そろそろ暗くなるので行動には注意を要する。

1745 吉野町駅前バス停で10分休憩
 この間、関内駅手前から国道16号に入ったのだが、足の痛みはピークに達しつつあった。過去にハイキングや登山で長い行程を歩いたことはあったのだがそれでも20km程度なので、少なくとも19km以上歩いているこの時点での疲労は今までに経験したことのないものだった。

1840 上大岡駅で10分休憩
 長いこと我慢していたのだが耐え切れず、ついにトイレに駆け込む。なお、全行程中トイレに立ったのはこの1回のみである。なお、災害時にはトイレをはじめとする衛生設備が不足することが予想されている。可能ならば使い捨ての携帯トイレもセットに加えたいが、良さそうな製品はまだ見つかっていない。

2025 本郷台駅に到着
 8時間35分かけてようやく帰宅することができた。10分ずつ休憩を入れているので、歩くときの速度は時速4kmより若干速いことになる。なお、この後3日ほど足、腿、肩の筋肉痛が取れなかったことを付け加えておく。


 帰宅訓練を終えた段階で気づいたいくつかの改良点があるが、長くなったので項を改めて紹介したい。
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2005年11月08日

携帯防災のすすめ(その8)

・雨具

 避難中に雨が降ることも十分に考えられる。しかし折り畳み傘などの雨具では、手が疲れる上に片手がふさがるので転倒を招きやすい。瓦礫が散乱している道路ではなおさらだ。やはりここはレインコートなどを用意しておきたい。といっても、2万円ほどもする高価な登山用雨具を用意する必要はない。非常用と割り切るなら、こういった便利なものがある。

ハンディーポンチョ イエローハンディーポンチョ イエロー

 薄手の素材でできた軽量なレインコートで、大きさは文庫本と同じくらい。歩いていると足元などは濡れてしまうが、上半身を完全に覆ってくれるので風邪を引くことはない。また非常に安価なので、予備をもう1個用意して人にあげるといった使い方もある。


・エマージェンシーブランケット

 大怪我をしたときや野宿をするときなど、体温の低下を防ぐ必要があるときはエマージェンシーブランケットを使うとよい。これは非常に薄いフィルムにアルミを吹き付けたもので、宇宙服にも使われている断熱素材でもある。それだけに薄さからは想像できないほどの性能を持ち、その断熱効果は毛布3枚分に及ぶという。

【MPI】エマージェンシーブランケット【MPI】エマージェンシーブランケット

 しかし、欠点もある。その薄さと軽さから、外で使うと少々の風でも飛んでしまい、すきま風が入るので完全な断熱状態を保つのは難しい。加えて、体を動かすたびにアルミがこすれる音がするので、避難所で寝るために使うのは避けたほうが良いだろう。結論としては、最初に述べたように外で寝るか、動けないけが人や病人に対して使うしかない。
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2005年10月23日

携帯防災のすすめ(その7)

 ・火を使う

 私が提案している携帯型防災セットはあくまでも緊急避難を目的としており、安全に帰宅するためのものだ。しかし、冬場は火があると暖を取ったり、コーヒーやお茶を飲んだりできるなど精神的な効果もあるのであえて紹介する。

 非常時に火があると、例えば途中で入手したレトルト食品を湯煎したり、粉末のコーヒーや紅茶を使ってティータイムを楽しむことができる。贅沢だとの批判もあるかも知れないが、私はそうは考えていない。日頃は冷静な人でも、一度危険な状況に放り込まれたら精神の均衡を失うことはあり得る。そんなときにお茶を飲むことで心を落ち着けることができる。戦場でもティータイムを守り続ける英国人のようになる必要はないが、このようなお茶の効用には注目してもいいと思う。

 さて、火を使うにはコンロと鍋、それに火種が要る。火種はライターか、アウトドア専門店で扱っている防水マッチを使えば済むが、まさか鍋物用のガスコンロを鞄に入れるわけにもいかない。かといって、登山用のガスストーブやガソリンストーブは高価な上、燃料に引火・爆発する危険がある。

 エスビットという携帯コンロは登山用ガスコンロなどと比較しても非常に小さく、86g(燃料除く)と軽量なので携帯するにも非常に便利だ(下はその写真)。燃料は固形アルコールなので引火の危険も少なく、安全にしまっておくことができる。この製品はドイツ軍に採用され、さらに英軍にも類似品が存在する。
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 次に鍋についてだが、こちらも軽量で便利な製品がある。「メスティン」という製品(下写真)で、弁当箱程度の大きさながら火にかけて1合の米を炊くことができる優れものだ。登山をする人の中にはこれに緊急用の装備品を詰めて山へ持っていく人がいるそうで、その点からも信頼性の高さが伺える。
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 コンロと鍋のついでに、粉末のお茶も用意しておくとよい。ただし、コーヒーや紅茶に含まれるカフェインには覚醒作用のほかに利尿作用があるので、心配な方にはたんぽぽコーヒーなどのノンカフェイン飲料の粉末を用意されると,トイレが近くなるといった不安からも開放されることと思う。
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2005年10月17日

携帯防災のすすめ(番外その2)

前回の記事ではコンドームを水筒代わりに使用し、評価を述べた。以来、この非常によく伸びる素材の活用法を検討していたのだが、その過程で思いついたことがある。コンドームを包帯として活用できないだろうか。伸縮性と耐久性は前回の記事で実証済みだが、実際に使用した例はない。そこで今回も実験を試みた。

用意するもの
・コンドーム(無印良品 4個294円)
・ガーゼ

 実験日:平成17年10月某日
 実験場所:都内某所

wtcr02.jpg コンドームを開封したところ。今回は包帯として使用するため、この後に先端部を5ミリほど切り落とした。赤十字で三角巾がない場合の代替として使用が推奨されているストッキングのような汎用性は期待できないが、包帯できそうな部位として前腕に通してみた。


bndg01.jpgbndg02.jpgbndg03.jpg
 何回か引き伸ばし、腕に通してみたところを3方向から撮影した。さすがにコンドームは腕に通すには細すぎたようで、実験に協力してもらった友人Kに訊いてみたところ、やはりきつかったようだ。最近は大きなサイズのコンドームが発売されているようなので、機会があれば試してみたいと思う。

 bndg06.JPG
 腕から外した筒状のコンドームの口を結び、手を覆ってみた。水筒の時とは異なり、手を開いて多少負荷を加えても破裂することはなかった。多少の慣れを必要とするにせよ、手の甲をはじめとする身体末梢部の傷を手当てするときには効果的だと思う。

 ここまで書けばただの風変わりな実験で終わりなのだが、然に非ず。私はこのアイデアを商品化できないかと考えている。直径を現状のサイズよりもう少し大きくし、潤滑剤を傷に対して無害なものにすれば包帯としても使えるのではないだろうか。今のところ、リング状の口を両端に設け筒状とすることで使い勝手を向上させ、両端に広げるように装着する仕組みを考えている。加えて(素人考えだが)、包帯(巻軸帯)を巻くのに比べて時間がかからず、迅速な処置が必要な救急医療の分野においても使えると思う。

 さらにこのコンドーム型包帯(仮称)は、その1で紹介した閉鎖湿潤療法を行う際にも利用できる。閉鎖湿潤療法を行う際に必要となる被覆材として一般的なのは食品保存用のラップだが、ラップを常日頃持ち歩いている人はおそらくいないだろう。ゴムは空気を通さないので、閉鎖湿潤療法を行うのに適しているといえる。

 ほかにもいくつかアイデアを持っているので、医療関係かコンドーム業界の方がこの記事を見かけたら、ぜひ連絡をいただきたい。


 ちなみに、私の知る限りコンドームには以下のような利用法がある。

・手製爆弾の時限信管
 コンドームに酸を詰めて両端に電極を通し、放置する。時間がたつと酸がコンドームのゴムを溶かし、両極が通電して起爆する。最も簡単な原理の時限装置。

・麻薬やマイクロフィルムなどの運搬
 これらの見つかってはいけない物品を持って空港の税関を潜り抜けるときに、それらをコンドームに詰め、口を縛って飲み込む。少々の時間ならば胃酸から保護できるので、その間に税関を潜り抜け、その後はすぐにトイレに駆け込み、吐き出せばよい。

 ちなみに、その3があるかどうかは不明だ。
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2005年10月07日

携帯防災のすすめ(番外その1)

 以前読んだ小説に書いてあったのだが、コンドームには1リットルの水が入るという。私には信じられなかった。いかににゴムの伸縮性が高いとはいえ、高々10cm少々の長さしかないコンドームに1リットルもの水を入れられるわけがない。そう考えていた。

 だがその小説にはこうもあった。水が1リットルも入るコンドームは、ジャングルで水筒を失くしたときに使うという。非常用にわざわざ水筒など用意しなくとも、あるいは水筒の予備として、コンドームを利用することは可能なのではないか。

 そこで私は、本当にそれが可能なのか、実験を試みることにした。

 用意するもの
・コンドーム(無印良品 4個294円)
・水(1リットル)

 実験日:平成17年9月某日
 実験場所:都内某所

wtcr02.jpg コンドームを開封したところ。潤滑剤が含まれているので、実際に水筒として使用する際には内部の消毒を行う必要がある。このまま水を入れるとゴムが伸びず、すぐにあふれてしまうため、リング部分を軽く伸ばしてから水を入れると良い。

wtcr03.jpg 手始めに水を0.5リットル入れてみたところ。水の重さでいつ切れるか不安でもあったが、形状からするとまだまだ伸びる余地があるようだ。

 この後、残りの水を入れようとコンドームを地面に置いたところ、破裂した。地面には特に尖ったものはなかった。引っ張りには強いが、衝撃には弱いようだ。仕方なく、コンドームを新しく用意して同じ作業を繰り返した。


wtcr06.jpg 1リットルの水が入った。予想以上の成果だ。自重でかなり垂れ下がってはいるが、切れるような気配はない。引っ張りに強いゴムの特性が最大限に活かされている。

 あと何リットルか水が入りそうだが、今回の実験の目的は「コンドームに1リットルの水が入るのかどうか」を検証することなので、興味のある方は御自分でどうぞ。


 この水入りコンドームを手で握ってみたが、破裂することはなかったので圧迫には強いと考えられる。尖った物にさえ気をつければリュックサックなどで運ぶことができるだろう。しかし刃物には弱く、カッターナイフで2,3回撫でただけで簡単に破裂してしまった。また、ゴムの匂いが手についてしばらくは離れないので、緊急時以外は使用しないほうが無難だと思う。

 ・結論
 ゴムの匂いさえ気にしなければ、1リットル程度の水は十分に入る。しかし、衝撃を与えたり、尖った物に触れると簡単に破裂するため、取り扱いには注意を要する。
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2005年09月30日

携帯防災のすすめ(目次)

 記事の数が増えてきたので,目次をつけることにした。複数の記事を参照する際に活用して頂きたい。

  その1  他人を助ける
  その3 状況を知る
  その5-1 昔乾パン,今は…
  その6  バランスを大切に
  番外その1 意外なときに意外なものが
  
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2005年09月27日

携帯防災のすすめ(その5-2)

 その5-1で紹介した『パワーバー』と『航空用救難食糧』の試食を行ったので、その感想を述べる。

・パワーバー

 まずはパワーバーから。今回はチョコレート、バナナ、アップルシナモンと3種類の味の中で最も食べにくそうなアップルシナモン味を選んでみた。3種類に共通する性質としては、板状で軟らかく、変形はするが割れることはない。
pwbr01.JPG
 袋を開けると、シナモン風味の香りがかなり強く感じられた。食感は、あえて形容するならば「薄味のキャラメルにライスパフなどを練り込んで最後にシナモンで香りをつけたような」感じだ。シナモンの香りが強すぎてリンゴの風味は感じられなかった。食べ終わった後もシナモンの後味が残るので、喉が渇いているときは少々きついかもしれない。

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 また、端を開けてから中身を引っ張って取り出そうとするとちぎれるので、写真のように袋から押し出すような形で食べるとよいと思う。あるいは袋を切り開き、ナイフなどで細切れにしてからつまむのも良いかも知れない。手には結構べとつくのだが、アルミの袋からは簡単にはがすことができた。

 チョコレート味とバナナ味に関してはリクエストがあれば追加する予定だが、今回のアップルシナモン味に比べればまだ無難に思える。


 ・航空用救難食糧

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 缶の中にA食品とB食品各5食がセットになっていて、購入時はビニールテープで封をされていた。写真からわかるとおり、アルミの真空パックがされているので保存性、携帯性はきわめて高い。右の写真は上からA食品、B食品、比較用の100円ライターである。

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 封を開けると、バーというよりはブロック状のビスケットが現れた。一口かじってみたところ、意外と簡単に割ることができた。目安としては落雁くらいか。この程度の硬さならば衰弱した状態でも食べることができそうだ。パワーバーに続けて食べたのだが、それを差し引いても大きさの割に結構ボリュームがあるように感じられた。ビスケットを一度砕いてから圧し固めるという製法のせいか、食べ終わった後も欠片が口の中に残る。

emfd06.JPG
 B食品は乾燥ゼリーとなっているが、食感は五家宝に若干似ている。かじったときもゼリーのような抵抗はなくさくっとした感じだ。左の写真(ピンボケで申し訳ないが)のように、中間に胡麻が入っていて香味付けに一役買っている。ビスケットバーと異なり軽めの食感なので、喉の渇きは気にならなかった。


 ・総評
 両製品とも喉の渇きは耐えられないほどではないが、喉が渇ききった状況での行動も視野に入れると、やはり何らかの形で水分を補給する必要がある。アークスリーに入っているような水のパックは日本国内での入手が難しいため、現実的な対策としてはその5-1で述べたとおりゼリー飲料を携帯することが妥当と考える。

 なお撮影するのは忘れてしまったが、救難食糧の缶の上面とパワーバーの袋はほぼ同じ面積なので、缶の上にパワーバーを重ねておくことができる。
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2005年09月15日

携帯防災のすすめ(その6)


・栄養

 前項では主にカロリーの摂取について取り上げたが、人間の体はデリケートなもので、各種のビタミンやナトリウム、マグネシウム、鉄などの金属類を継続的に摂取しなければ調子を整えることができない。通常は2,3日の間摂取しなかったとしても死ぬことはないのだが、緊急時に加わる精神的ストレスと、生鮮食料品の大幅な不足によってビタミン・無機塩類を摂取できない状況が続いた場合、病気などで体の調子を崩すことが考えられる。

 最近はダイエット志向などの煽りを受けてか、サプリメント市場が急激に成長している。サプリメントとは栄養補助食品のことで、1日に必要な栄養素を錠剤またはカプセルの形で摂取することで不足しがちな栄養素を補うというものである。最近ではリポ酸だのカルチニンだの訳の分からないものが増えつつあるが、ここではビタミンと無機塩に絞って考えたい。

 栄養素の標準所要量と上限値は厚生労働省webサイトに記されている。これを満たし、かつ水なしで摂ることができるサプリメントは何種類かあるが、ほとんどは継続的な使用のためにボトルに入っており、携帯可能な製品は非常に少ない。

 私は明治製菓の「サプリメントスクエア マルチビタミン」(7日分,189円)を一袋携行している。この製品は2粒で成人1人が1日に必要とするビタミンを摂取することができるという。厚生労働省の基準と照らし合わせると女性の基準を上回り、男性の基準には若干届かなかった。また、基準に示されているビタミンのうちビタミンKとピオチンに関して記述がなかったが、この2種類の栄養素は欠乏症に陥る可能性が低いために省かれたのだろう。

 参考サイト:Wikipedia ビオチン ビタミンK

 一方、無機塩に関してはサプリメントスクエアのラインアップにあるものの、水を必要とするため携帯は難しい。ナトリウムやマグネシウムは食塩で何とかできるが、鉄は不足すると貧血を起こしやすくなるため、不安な方はのサプリメントも合わせて携帯すると良いと思う。水なしで食べられるマルチミネラルなどの製品の情報があればお知らせいただきたい。
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2005年09月06日

携帯防災のすすめ(その5-1)

・非常食

 われわれ日本人が非常食と聞いて最初に思い浮かべるのは乾パンだろう。だが携帯用、備蓄用を問わず乾パンは非常食に適するとは云い難い。栄養価は確かに申し分ないが、消化しにくい上に喉が渇く。水の確保が極めて難しい災害時においては、喉の渇きを誘発するような非常食はすべて没、ということになる。

 上記を踏まえて、被災最初期にふさわしい非常食は何か考えてみた。なお、条件は

(1)水が不要(喉が渇かない)
(2)カロリー
(3)軽さ

の順に重視している。

 ・ゼリー飲料(1袋160〜200円程度)
 レトルトのようなアルミパックに入っており、保存性は良い。水分が含まれているため喉が渇かないどころか逆に喉の渇きを癒してくれるが、180〜200gあたり200kcalとカロリー/質量が少ないのがネック。カロリー摂取用の非常食を別に用意し、補助用とするのが良いと思う。アミノバイタル、ウィダーinゼリーなど各社から発売されているが、1袋あたり200kcalを超える製品はない。

 ・カロリーメイト(2本入り105円、4本入り210円)
 1本(20g)あたり100kcalを摂取でき、その他の栄養に関しても申し分ない。複数の味があることも精神衛生の面で好ましい。乾燥食品のため喉が渇くが、ゼリー飲料との併用によっては回避できそう。

 ・パワーバー(1本262円)
 スポーツ用のエネルギーバー。200kcal/55gとカロリー/質量でカロリーメイトを下回るものの、成分が炭水化物由来であるため脂肪が少なく、より効率よくエネルギーを摂取できる。喉の渇きについては参考資料が見つからず不明なため、近日中にレビューを執筆する予定。

 ・航空用救難食糧(1食350円、アルミパック入り3食850円、缶入り5食1,785円)
 旅客機や戦闘機の座席に搭載されている救難用非常食。ビスケットバー(A)とゼリー(B)の2種あり、両方各1個で1食を構成する。ABあわせて64gで305kcalとカロリーメイトを上回る効率ながら、喉が渇かない(という宣伝)。最近まで入手することができなかったが、8月下旬に東急ハンズ横浜店(全国かどうかは不明)に入荷された。こちらも近日中にレビューを予定。

 ・アークスリー(2,700円)
 『周囲から隔絶された状況下で3日間生き延びる』ことをコンセプトに開発された非常食・水・緊急用ブランケットのセット。食糧は9個のブロックに分かれており、1個当たり400kcalだが、9個が1つの袋に収まっているために分割できず、加えて水とブランケットを含めた総重量が1.8kgに達するため、携帯は非常に困難。なお味については好意的な意見もあるようだが、東急ハンズの担当氏の言によれば『大味で米国人向き』との事だった。

 それぞれの効率を下にまとめてみた。最小単位質量は1袋の質量を示す。これを同じく1袋あたりのカロリーで割り、質量あたりのカロリー値を算出した。
      最小単位質量[g] カロリー[kcal] カロリー/質量[kcal/g]  
ゼリー飲料    180〜200     180〜200     0.9〜1.0
カロリーメイト    40        200       5.0
パワーバー      55        200       3.64
航空用救難食糧 64  305       4.77
アークスリー   約680        3600   5.29

 カロリー/質量の値を見るとアークスリーが最も高く、次点に航空用救難食料が続く。だがアークスリーは上で述べたとおり携帯が困難なので、実質的には航空用救難食糧が最も携帯に適すると考えられる。但し、水が確保できない状況も想定しなければならないため、万が一を考えるならばゼリー飲料を水分補給のために1本入れておくと良いと思う。

 その他、携帯可能なものに限定しても数多くの非常食が発売されている。このエントリで紹介した以外の非常食については、以下のサイトを参考にされたい。

 参考サイト:防災グッズ体験レポート


09/27追記
その5-2の投稿に伴い、タイトルを「その5」から「その5-1」に変更。
posted by 火銛 at 19:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月02日

携帯防災のすすめ(その4)


・水の確保

 人は1日に3リットルの水を消費するといわれている。質量に換算すると3kgになる。3kgにも及ぶ量の水を、いつ起こるとも知れない災害に備えて常に携帯することは非現実的だろう。その理由として重量の問題は勿論、すぐに腐ってしまうために頻繁な交換が必要なことが挙げられる。

 だが、人間は水なしでは生きていけない。普通に生活していても体内の水分は汗や尿として失われるが、取り戻すのは容易ではない。植物の蒸散作用を利用して水を確保する方法はあるものの、首都圏のような都会では難しいだろう。

 従って、水に限っては災害が発生してから確保する他ない。それでは遅いと考える向きもあろうが、然に非ず。そもそも、何故地震が起きると断水するのだろうか。

 水は浄水場からいくつかのポンプを経由して各家庭に送られる。災害時は断線などによって停電が起こるためにポンプが停止し、結果として断水される。だが、ポンプが止まったとしてもそれまでに送られた水は水道管を流れているため、地震発生後しばらくの間は水が確保できると考える。

 水を見つけたところで水筒がなければ持って行くことはできないが、ポリタンクを常に持っているわけにもいかない。しかし、便利なものを考える人はいるもので、使わない時はたためる水筒がすでに発売されている。下図はその写真。
プラティパス プラティパス2 (2.5L)

 『プラティパス』と呼ばれているこの水筒は三層ラミネート構造で耐久性が高く、しかも使わない時にはコンパクトに折りたたむことができる。アタッシェケースやデイパックに入れておけば、緊急時にはすぐに水を確保することができる。

 また、携帯用の浄水器を使用して川の水を濾過するという方法もあるが、このようなフィルタ式のの浄水器では水に溶け込んだ金属イオンを除去できない。都会の川には鉛に代表される重金属イオンが溶けている可能性があるので、安全が保証できない以上無闇に手を出すべきではない。

 完全に品質の保証ができない水を摂取し、体の調子を悪くしたとしても、トイレさえ満足に動かない状況下では衛生状態の悪化を招くだけだろう。冒頭でも少し述べたが、都会で水道なしに水を確保することは極めて難しい。加えて、水の携帯については缶入り保存飲料水『アークスリー』の水パックなど水そのものを携帯する方法があるが、上に述べたとおり嵩張る上に重い。リスクの高い方法になるが、運良く水を入手できた場合に備えて水筒を携帯する以外に方法は無いと思う。
 
管理人註:ここで述べる『水』とはすべて飲料水を指す。生活用水はある程度我慢すれば川の水でも代用できるため。
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2005年08月27日

携帯防災のすすめ(その3)


・情報収集

 ある程度安全を確保したら、次に必要なのは情報収集だ。今や日本人のほとんどが持っている携帯電話はカメラ、webブラウザ、GPS、MP3プレーヤーなど、すでに個人用のコンピュータといえる段階にまで進化している。iモードやEZwebなどのインターネット接続サービスは音声通話と同じく有効なコミュニケーションの手段たり得る。我々はこれらを積極的に活用すべきだ。無論、電池使用の急速充電器を忘れてはならないが。

 ただし、災害時に携帯電話を利用する場合、重大な問題がある。新潟県中越地震以降、電話が通じない状況でも携帯メールは使用可能といわれているが、この認識は半分は正しく、半分は間違っている。第2世代までの携帯電話は通話とメールを別々に管理していたが、第3世代はこれを一括して管理しているためにデータ通信も規制される。携帯電話各社では分離規制に対応しつつあるようだが、先日の千葉県北西部地震の際もauやNTTドコモの第3世代型機を対象に通話(データ通信を含む)規制が行われた。

 参考サイト:IT Proニュース

 ボーダフォンの第3世代型機ではこの通話規制が行われなかったが、私はこれを加入者の減少によって回線に余裕ができていたためと判断している。なおツーカーに関しては電話機が第2世代型のみであることと、東名阪地域以外ではボーダフォンの回線をローミングしていることから通話規制は起こらないものと考えていたが、実際は通話とデータ通信を一括管理していたために回線が輻輳し、通話規制が行われた。

 また、ドコモとauは両社が運営する災害用伝言板サービスの相互リンクによる連携を行うと表明している。

 参考サイト:KDDIプレスリリース

 携帯電話に加えて、ラジオがあるとなお良い。ソニーや松下など複数のメーカーから通勤用の小型ラジオが発売されている。これらのうち一部の製品はテレビの音声も聞くことができるので、情報収集の際の選択肢が増える。

 通常、防災用品としてのラジオを選ぶ際は手回し式の発電機を内蔵する製品を選ぶのがセオリーだが、これらは例外なく一定の大きさと重さを占め、防災セットとしての携帯性を著しく損ねてしまう。かろうじて携帯できるものとしては、以下の製品が挙げられる。

LEDダイナモ・ステーション(ラジオ付き)LEDダイナモ・ステーション(ラジオ付き)
◆レスQ隊◆多機能!自家発電 帯充電器 ラジオ◆レスQ隊◆多機能!自家発電 帯充電器 ラジオ

 紹介した2製品はライトや携帯電話への充電の機能も兼ねているものの、携帯性は通勤用ラジオに及ばない。発電機つきの製品を携帯するよりは予備の電池を増やすほうが現実的と考える。

 また、ラジオから流れる音楽の生理的作用も無視することはできない。音楽再生機能付きの携帯電話にも言えることだが、音楽には精神を落ち着かせ、感情を正常化する作用がある。云うまでもないことだが、災害発生時は自然への恐怖や知人を失う悲しみで気分が滅入り、不安になることだろう。だが、切羽詰まっているときにこそ娯楽は一服の清涼剤たり得る。そのような時に音楽を聴くことによって、少しでも精神的な安定を得ることができれば、いずれ訪れる避難生活や復興も乗り切ることができるのではないかと思う。

 参考サイト:音楽療法入門〜音楽の作用と機能
posted by 火銛 at 22:35| Comment(8) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月24日

携帯防災のすすめ(その2)


・ホイッスル

 地震で瓦礫などに閉じ込められた場合は外部に助けを求めることになるが、大声を出すのは意外と体力を消費する。そんな時にはホイッスルが役に立つ。私が使用しているのはエマージェンシーカプセルと一体になったタイプで、中には住所、氏名、血液型などを書いた紙を入れてある。これを携帯していれば輸血が必要となった時は即座に血液型を伝えることができるので、生存の可能性が上昇する。

SOSホイッスル・IDカード付きこういう物。

 ホイッスルはさほど大きくないので、キーホルダーやペンダントなど様々な形で身に付けることができるのが特徴といえる。ライトがついているものや、カラビナになっているものなど、メーカーによって様々な機能を付加する工夫が凝らされている。


・ライト

 日本においてはすでに珍しくなったが、平時でもごくまれに停電が起きることがある。私にも入浴中に停電に遭遇し、非常に心細く感じた経験がある。まして災害時ならなおさらだ。そんなわけで、ライトを最低1本はセットに入れておきたい。

 使用するライトはあくまでも非常時の明かりとして用いるためのものなので、消費電力が少ないLED(発光ダイオード)のものを選んだ。LEDの光は拡散する性質があるので、周辺を満遍なく照らしたい場合に便利だ。

 ライトの最も重要な条件は明るさだ。シュアファイヤーなど明るさを極限まで追求した商品もあるが、私はこれらの製品を推奨しない。もともとシュアファイヤーは軍や警察の特殊部隊が使う目潰し用ライトのため、運用コストが非常に高い。専用のリチウム電池を使用し、交換用電球も非常に高価だ。特殊部隊は任務遂行のために、経済性を犠牲にしてでもこのような装備を取得する必要があるが、我々のような一般庶民に手が出るものではない。したがって、非常時に備えるためのライトは電池の持続時間、携帯性などを重視して選ぶ必要がある。

 単4電池やボタン電池を使用した小型のLEDライトは各社から様々な製品が発売されているので、性能や形状などを吟味した上で選びたい。

 参考サイト:Flashlight Fan

 また、使用中に電池が切れたときに備えて予備の電池を持っておくのは当然のことだが、予備用としてケミカルライトを持っておくのもひとつの方法である。ケミカルライトとは、プラスチック製のチューブの中に二種類の薬品を混ざらないように封入し、これを曲げることによって内壁が破壊され薬品を混合、発光するライトである。100円ショップなどで購入できるので、使い捨てということを差し引いてもバックアップに使えるだろう。

 
posted by 火銛 at 14:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月20日

携帯防災のすすめ(その1)


・救急用品

 地震などの災害が起こった場合、身の回りのあらゆるものが凶器となる可能性がある。これらによって傷を負ったときに備え、止血など応急処置を行うための装備を携帯する必要がある。応急処置を行うために必要な物品を以下に示す。

・消毒液
 創傷部の殺菌・消毒に使用する。イソジン、オキシドール、マキロンなど様々な消毒液が市販されているが、私は災害時に有用なのはイソジンかエタノールだと考えている。それぞれ創傷部の消毒以外にも活用できるためである。イソジンは水の殺菌、エタノールは気付けにそれぞれ応用できる。なお、私はエタノールを用意し、携帯している。

・清浄綿もしくはウェットティッシュ
 用途は消毒液に同じ。またこの他にも移動中にかく汗を拭き取ったり、手拭などにも応用できる。

・ガーゼ及び包帯
 創傷部の圧迫止血及び保護に使用する。ガーゼは1枚ずつ包装されているタイプが良い。包帯も、包帯止めが不要な自着性のものを推奨するが、これは材料の一部に天然ゴムラテックスを使用しているので、ごくまれにラテックスアレルギーの症状を呈することがあるので、注意されたい。

 参考サイト:日本ラテックスアレルギー協会

・絆創膏
 軽度の擦り傷や切り傷などに使用する。予備も含めて10枚程度あれば良いと思う。

・三角巾
 骨折、捻挫などの際に患部を固定するのに用いる。応用範囲が極めて広く、結び方によって全身各所の固定に使用することができる。

 その他の薬剤、物品についての参考サイト:ファーストエイド・キット(救急セット)の作り方ニュージーランド・トランピング&温泉情報内)

 なお、創傷部の消毒と保護はあくまでも避難所もしくは医療機関に到着するまでの応急処置である。可能ならば到着後、閉鎖湿潤療法を行うのが望ましい。簡潔に述べると、閉鎖湿潤療法は従来の外傷治療とは全く異なり、消毒を行わなず、ガーゼも使用しない。創傷部をラップで覆うことで組織液が傷口を覆い、人体の自然治癒力を最大限に利用する。詳細に関しては以下のサイトを参考にされたい。

 なお個人的な意見だが、破傷風など感染症の懸念を拭いきれないため、消毒は必要であるように思うが、詳細は不明。医療関係者からのコメントをお待ちしている。

参考サイト:正しいケガ(傷)の治し方(同上)
       新しい創傷治療

注意:当サイト及び参考サイトの記事を元に閉鎖湿潤療法を実践し、結果何らかの損害を被ったとしても当サイト管理人は一切の責任を負わない。


08/21追記
 これらの救急用品を携帯するのには、このような小型バッグを使うとよいと思う。
ドイター:ファーストエイドキットバックS【DEUTER バッグ】ドイター:ファーストエイドキットバックS【DEUTER バッグ】

 試してみたところ三角巾1枚、包帯1本、ガーゼ4枚、絆創膏10枚、清浄綿3枚、消毒液50ml、軟膏1本を入れることができた。まだ少々余裕があるので、やけどの治療に使う油紙などを入れておこうと思う。

 またこれらの救急用品を効果的に利用するために、日赤救急法の講習を受けておきたい。止血法、三角巾の活用法、人工呼吸、心臓マッサージなどの応急処置を学ぶことができる。私は9月の上旬に受けに行く予定。講習会へ行く時間がない方も、これらの書籍を読んで知識を身に付けておくだけでも、何もしないよりは良いと思う。これらの知識は、災害時だけではなく日常生活においても役に立つので、活用して頂きたい。

08/30追記
 (ニュージーランド・トランピング&温泉情報の秋場研氏より、病気・怪我の可能性のある人にアルコールを与えるのは禁忌であるとの指摘を頂いた。また、感染症に関しても調査し、項を改めて紹介する。
posted by 火銛 at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月18日

携帯防災のすすめ(前書き)

 8月16日昼、宮城県で震度6弱の地震が発生した。地震の揺れは東北から近畿にかけてかなり広範囲に伝わり、私が住む神奈川県でも震度3の揺れが観測された。7月23日のエントリに書いたように、首都圏でも最近は強い地震が起きている。日本は地震国であるがゆえに、地震による災害からは逃れることができない。従って、災害を未然に防ぐには各人がこれに備える必要がある。

 私は昨年から、通勤・通学用の鞄に防災セットを入れて常に携帯していれば、突然の災害にも対応できるのではないかと考えていた。しかし、当時はまだアイデアが完全でなく、また個人的にも忙しかったために発表することができなかった。

 結局はすでに先を越されてしまったようだが(防災:明日はわが身など)、携帯用の防災セットの作り方について何回かに分けて書きたいと思う。まずはじめにこの防災セットを作るに当たっての目標を列挙したいと思う。

・体積は1.5リットル程度、質量は2kg以内
 これは、日常で携帯するに当たってストレスを感じないように可能な限り小さく、軽くする必要があることによる。一般的なデイパックの容量が20リットル程度であるので、その5〜10%程度が妥当と判断した。

・最低6時間程度の行動
 あくまでも最寄りの避難所もしくは自宅までの避難用であり、家庭用の防災セットに要求される3日分の水及び食糧の携帯は想定していない。というよりもまず不可能である。携帯性を確保するためには行動時間を犠牲にせざるを得ない。

・汎用性・信頼性のある装備
 汎用性があるということはすなわち応用できる範囲が広いということである。応用範囲が広ければ、想定しなかった状況にも対応できる可能性は上がる。また、高価な装備が故障して使えなかったなどということのないように、可能な限り単純な原理を用いているものを選びたい。

 今後は災害時に必要とされる各物品を優先度の高い順に紹介する予定。また、いつ再び地震が起こるか分からない状況でもあるので、早めの更新を心がけたい。
posted by 火銛 at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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