2005年07月12日

日本製ロケットが高価な理由

M5ロケットの打ち上げが成功した。これを機に、日本の宇宙産業が活性化するとよいのだが。


エックス線観測、天文衛星「アストロE2」打ち上げ(読売新聞)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10日午後0時30分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から、エックス線天文衛星「アストロE2」をM5ロケット6号機で打ち上げた。

 順調なら、同2時30分ごろに予定軌道へ投入されたかどうか確認できる。

 国産大型ロケットM5の打ち上げは小惑星探査機「はやぶさ」を積んだ2003年5月の5号機以来、約2年ぶり。

 アストロE2は軌道上での全長6・9メートル、重さ1・7トン。天体から放射され、宇宙空間でしか観測できないエックス線を高い精度でとらえる高性能の科学衛星で、国産のものとしては5基目。00年2月に打ち上げ失敗した「アストロE」を作り直した。

 M5は固体燃料だけで飛ぶロケットとしては世界最大で、6号機は全長30・8メートル、重さ約140トン。

 秒読み後、爆音と白煙とともに太平洋上空へ飛び立った。第1段、第2段のロケットを切り離したあと、姿勢制御用の第3段ロケットに点火した。

 M5は、03年10月に統合されてJAXAになった旧・文部科学省宇宙科学研究所が開発。新体制下では最初の打ち上げで、6日の予定が天候不良により延期されていた。



まずは打ち上げの成功を喜びたい。日本の宇宙開発はH2ロケットの相次ぐ失敗によって将来が危ぶまれていたが、H2A6号機、7号機の成功でようやく次のステップへ進むことができる。

日本の宇宙開発はコストが高く、そのために先の失敗の際には宇宙開発事業団の存続さえ危ぶまれた。しかし、これには日本特有の事情がある。

私の通う大学で国際関係論を担当する教授の言によれば、宇宙開発先進国ではロケットの打ち上げを軍の予算で行っているという(例えば、NASAと米空軍には密接な関係がある)。衛星打ち上げ用ロケットの技術は基本的には弾道ミサイルを応用したもので、冷戦期に大量生産されたために量産効果によって低価格を実現できているとのことである。

確かに、現在宇宙開発を行っているのは米国、ロシア、EU,中国、そして日本だが、日本以外のすべての宇宙開発国は弾道ミサイルの保有実績がある。逆に言えば、弾道ミサイルの製造というロケット開発の「練習」がなければ、宇宙開発を独力で行うことはできない、ということになる。ちなみに、世界初の実用ロケットはナチスドイツの開発したV2で、ロンドンを空爆するための弾道ミサイルとして使われた。

翻って、日本では憲法上の制約から弾道ミサイルの研究ができず、予算はすべて科学技術庁(現文部科学省)から拠出しており、あまり多くの資金を費やすことができなかったというのが真相のようだ。

私は宇宙開発のために弾道ミサイルの研究をすることには賛成しない。非核三原則などはただの口約束に過ぎないが、IAEAからも信頼されている以上、積極的に核兵器を持つべき理由は存在しない。それよりも、ASEAN諸国などから低軌道衛星の打ち上げを積極的に受注し、ロケット打ち上げの経験としていくべきだと考える。
posted by 火銛 at 14:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
宇宙開発は基本的に軍事的な意味合いを持つものですから。とっとと偵察衛星でも何でも大量に打ち上げればよいのです。
Posted by TFTRDH at 2005年07月12日 16:13
講義では先に上げた偵察衛星の廉価版を大量に打ち上げ、北朝鮮に対する監視網を整備すべきとも語られました。ミサイルを作れなくともロケット技術を活用する方法は数多くあるので、是非とも積極的になってもらいたいところです。
Posted by 火銛 at 2005年07月13日 13:42
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