2006年06月09日

ザルカウィは殺されるべきだったか

 長年にわたりヨルダン・アフガニスタン・イラクなど中東で暗躍し、多くの民間人を殺害したテロリストがついにその報いを身をもって受けることになった。だが、これを契機にイラク国内の治安が劇的に向上するとは云いがたく、課題は山積している。
ザルカウィ容疑者殺害作戦、内部情報が直結と 米軍報道官(CNN News)

バグダッド(CNN) イラクのテロ黒幕とされる「イラク・アルカイダ機構」を率いていたヨルダン人過激派、アブムサブ・ザルカウィ容疑者(39)が米軍の空爆で死亡したことについて、駐留米軍のコールドウェル報道官は8日、同機構の内部からの情報が作戦の成功に結びついたと述べた。

コールドウェル氏によると、7日の空爆ではザルカウィ容疑者のほか、同容疑者の「精神的助言者」とされるシェイク・アブダルラフマン氏と女性、子どもを含む5人が死亡した。アブダルラフマン氏についての情報は「ザルカウィ容疑者の組織内部の人物からもたらされた」という。

コールドウェル氏はまた、「数週間にわたる情報収集」の末、「昨夜初めて、ザルカウィ容疑者の確実な居場所が判明し、民間人らを巻き込む恐れがないことが確認できたため、空爆に踏み切った」と説明。潜伏先の民家には、米空軍のF16戦闘機が500ポンド爆弾2発を投下したという。

現場にはイラク軍の部隊が駆け付け、ザルカウィ容疑者とみられる遺体を別の場所に移動。体に残った傷あとや入れ墨、指紋から本人であることを確認した。コールドウェル氏は「身元確認は100%間違いないが、念のためDNA検査を実施する」と語った。

同氏によると、この空爆と同時に、イラク軍と米軍はバグダッド周辺の17カ所で一斉に家宅捜索を実施した。「大量の情報を入手することができ、今後の活用に向けて分析を進めている」という。

また、駐留米軍のケーシー司令官も声明の中で「ザルカウィ容疑者と側近が民家で会合を開いているとの情報は、同容疑者の組織のイラク人幹部から入手した」と述べ、同機構内部に情報提供者がいたことを明らかにした。

 注目すべきはザルカウィに関する情報が密告によってもたらされたということだ。この情報が正しければ、彼はすでに側近からさえも見限られていたことになる。組織が崩壊するのも時間の問題だっただろう。Wikipediaによれば、彼の非道に対して2005年11月に兄弟や親族一同が絶縁状を叩き付けたともいう。

 米軍はザルカウィを補足した後、綿密な情報収集を行ったうえで暗殺とも呼べる方法で彼の殺害を実行した。手段としては非常に『スマートな』方法だが、生け捕りにするなど他に方法はなかったのだろうか。極悪非道のテロリストにも人権が存在するといった世迷言を述べるつもりはない。情報源としての価値を期待してのことだ。アル・カーイダのナンバー3であり、いまだ行方の知れないオサマ・ビン・ラディンにつながる有力な手掛かりとして生かしておく手もあったのではないか。

 それにもかかわらず米軍がこのような作戦を実行したのは、ザルカウィに情報源としての価値がない、あるいは極めて低いと判断したのではないかという推測が成立する。アフガニスタン空爆以降、すでに何人かの構成員は米軍により拘束され取調べを受けているが、いまだにビン・ラディンに関する有力な情報が得られていないことは彼の拘束・殺害が現実となっていないことからも説明できる。

 このことから、生け捕りを目的とした作戦が行われても良いように思える。有力な情報が家宅捜索によって引き出されたとしても、本人の口から決定的な手掛かりを引き出せたかもしれない。だがそれを確かめる術はもうない。死体に尋問することはできないから。

 ザルカウィ自身はヨルダン人であり、彼が率いるテロ組織はもともとヨルダンの王政打倒を目的として成立した。イラク国内での活動は彼に対する否定的評価を増幅させこそすれ、支持者を増やすには至らなかった。イラク国内で頻発するテロ活動は国内の反体制派によるもので、アル・カーイダとの関連は薄いと見られている。換言すれば、ザルカウィの暗殺はイラクの治安回復とは無関係である。米軍・イラク軍関係者の士気があがるのは喜ばしいことだが。

 今回の作戦で得た情報を元に米軍はアル・カーイダとの対決姿勢を強めていくだろう。私は9.11テロの被害者ではないが、WTCが崩壊する映像には衝撃を受けた。ビン・ラディンが早く拘束されることを祈っている。
posted by 火銛 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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