2006年01月27日

技術流出を阻止すべし

 最近のテレビや新聞は馬鹿の一つ覚えのようにホリエモン逮捕に関するニュースを流し続けているが、こちらのほうがよほど重要だ。

無人ヘリ対中不正輸出、ヤマハ発動機を捜索(読売新聞)

ヤマハ発動機本社(静岡県磐田市)に捜索に入る捜査員ら 「ヤマハ発動機」(静岡県磐田市)が産業用無人ヘリコプターを中国に不正輸出しようとした疑いが強まったとして、静岡、福岡両県警の合同捜査本部は23日午前、外国為替・外国貿易法(外為法)違反(無許可輸出)の疑いで同社の本社などの捜索を始めた。

(中略)
 
 捜査本部などによると、輸出先の中国の会社とヤマハ発動機は少なくとも2001年から提携。輸出したヘリコプターは小型カメラなどを搭載し、軍事転用が可能という。 経産省によると、ヤマハ発動機への立ち入り検査の結果、昨年3〜11月に13件の無許可輸出が判明し、12月21日には、未遂のケースが1件確認できたという。

 会見した同社の大坪豊生(とよお)取締役は「許可は必要ないとの認識だった」と話しているが、経産省は会見で「同社の輸出体制の報告書と検査結果に食い違いがあり、意図的に(不正を)行っていた疑いがでてきた」としており、捜査本部は「違法性の認識があった」とみている。

(2006年1月23日12時32分)

 ヤマハ発動機が開発した無人ヘリコプターが中国に不正に輸出された。同社のwebサイトにはその無人ヘリコプターの製品情報が掲載されているが、見たところかなりの性能を持っているようだ。コンピュータによるセルフチェック機能や、コントローラからの電波が途切れた場合には自動で着陸する機能などを備えている。

 問題はこの無人ヘリそのものではなく、無人ヘリに使われている技術にある。本来、技術というものはそう簡単に他国に譲り渡してよいものではない。もしそれができるならば、産業スパイなどという職業は成立しない。輸出が必要ならば重要な部分をブラックボックス化するとか、高額のライセンス料を請求するといった対策が必要になる。ちょうど米国が日本に戦闘機を売り込むときのように。

 今回の件に関しては、時すでに遅しと云わざるを得ない。中国企業が輸出されたヤマハの無人ヘリを基に国産に成功している。(毎日新聞)東京新聞などはこの問題に対して「大したことはない」などとうそぶいているが、重大な認識不足である。技術が頻繁に流出するようになると、その国は技術的な優位性を次第に失っていく。軍事転用が可能となればなおの事、各国がしのぎを削って開発競争を行っている分野ゆえに簡単に追いつかれてしまう。

 たとえば、有名なプレイステーション2は外国為替および外国貿易法による「戦略物資」の指定を受けている(参考)。中枢部分をミサイルの誘導装置に利用できるからであり、これが特に中国や北朝鮮に流出した場合、わが国の安全保障にとって大変な脅威になる。

 政府はこれを機会に、是非とも技術や情報の流出を阻止するための法律を整備すべきだ。過去においてわが国は「スパイ天国」とも揶揄されるほど情報の流出について無頓着だった。秋葉原では各国のスパイが盗聴器などを製作するために部品を買い付けに来ていたと聞く。スパイ防止法を制定し、これ以上の情報流出をなんとしても阻止しなければ、憲法を改正したところで今までと同じように相手になめられるだけだ。
posted by 火銛 at 16:16| Comment(5) | TrackBack(1) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月21日

牛肉の借りを戦闘機で

米国産牛肉を再び禁輸=ブッシュ政権が緊急対策表明(時事通信)

  【ワシントン20日】日本政府は20日、成田空港に到着した米国産牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の原因物質が蓄積する特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していたとして、再び禁輸措置を取った。米国産牛肉は昨年12月に輸入を再開したばかり。米国はジョハンズ農務長官が禁輸発表の数時間後に記者会見、加藤良三駐米大使に「極めて遺憾だ」と伝えたことをことを明らかにし、日本に検査官を派遣するなどの緊急措置を取る方針を表明するなど対応に追われた。

 ジョハンズ農務長官は「米国の規制の下では、日本に輸出された背骨や脊柱は月齢30カ月以下であるため、特定危険部位ではない。しかし日米の輸出再開の合意では脊柱は含まれないことになっている」と指摘。「これは安全性の(基準)問題ではなく、日本との合意条件を守れなかったという米国側の受け入れられない失敗だ」と米国側に落ち度があったことを認めた。

 その上で「我々はこの問題を深刻に受け止めている。牛肉輸出市場の重要性を認識しており、迅速かつ断固とした行動を取る」と強調した。

 同長官は、農務省の検査官を日本に派遣し最近輸出され承認を待っているすべての米国産牛肉を日本の当局者と協力して再検査すると同時に、日本向けの牛肉輸出を承認されているすべての工場に検査官を追加派遣すると明らかにした。さらに問題の牛肉を調べた農務省検査官が適切な処分を受けるとの見通しを示すとともに、出荷した食肉処理工場の対日輸出許可を取り消したと語った。ただ工場の名前は明らかにしなかった。

 一方マクレラン米大統領報道官は同日記者団に対し、「米農務省当局者が日本側と緊密に接触し、我々が再禁輸措置を深刻に受け止めていることを伝えている」と述べた。〔AFP=時事〕

 2年ぶりにようやく輸入が再開された米国産牛肉が再び輸入停止となったが、このニュースは輸入のための条件を1ヶ月で反故にされた形のわが国では大きな衝撃をもって伝えられた。マスコミは早速危険部位を混入した業者を突き止め、我先にと追及を行っている。

 2年前の禁輸措置の際と同じく大きな打撃を受けることになるのは吉野家をはじめとする外食産業だが、同業他社が牛肉の輸入を豪州産や中国産などに切り替えてリスクの分散を図る中、吉野家は頑なに米国産を守り通していた。安価な牛肉を大量に供給するためには米国産しかないとの考えだろうが、すき家やらんぷ亭などは100円程度高い価格でも肉の安定供給に成功しつつある。

 今回の再禁輸措置は米国内でも伝えられ、米国の食肉業者は怒りの声を上げているようだ。ワシントン・ポスト紙(英語)によれば、米国牧畜業者協会のGary Weber氏は「今回の禁止部位混入は不運な事故であり、狂牛病のリスクをもたらすものではない」とコメントしている。また、アジア諸国の中で日本は最大の顧客であり、禁輸前は米国産牛肉の輸出額39億ドルのうち、14億ドルを輸入していたという。米国にとって日本の市場は相当に魅力的なようで、禁輸解除も米国側の再三の要請があって実現した。

 だが吉野家を別として、一般家庭ではさほどの影響を受けなかった。牛肉の値段が上がっても豚肉や鶏肉は価格を維持していたし、禁輸に伴って国産牛肉の価格は上昇したものの国民が栄養失調を起こすほどの影響ではなかった。6月に執筆した「今度の夕食は鯨」でも触れたように、米国は自国の牛肉を売るために日本人の貴重な蛋白源であった鯨の捕獲に対して圧力をかけている。

 かといってこのまま禁輸措置を続けると将来的には米国の対日政策に大きな影響を与えかねない。特に政権が民主党に移った場合には外交上かなりの困難に直面することになるだろう。この問題を、米国から牛肉に匹敵する高額の買い物をすることで解決できないだろうか。例えば、F/A-22戦闘機は現用のF-15を凌駕する最新鋭の戦闘機で、非常に高額でもある。仮に購入にこぎつけたとしても1機200億円ほどになると言われており、この非常に高い価格が新戦闘機選定の際のネックとなっていた。1ドル=115円として計算すると、200億円は1億7400万ドルに当たり、8機ほどで米国産牛肉の輸入総額(禁輸前)である14億ドルに達する。実際には少なくとも50機は購入することになるだろうから87億ドルほどかかることになる。

 日本がこのF/A-22を購入する場合、米国はライセンス生産を認めないだろうとも云われていた。しかしライセンス供与が実現すれば米国は工場を動かさずに設計図だけで巨額の利益を手にすることができる。米国政府はその税収を元に畜産業者に補助金を交付する。さらに日本の企業も仕事がもらえて一石三鳥である。唯一の問題は防衛予算だが、農水省と外務省から分捕れば…無理か。だが毎年8機ずつ48機を購入するとすれば、向こう6年間は牛肉を輸入しなくとも外交問題にせずに済む。実際には軍事機密上の問題もあって難しいだろうが、一考の余地はあるのではないだろうか。
posted by 火銛 at 22:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月12日

携帯防災のすすめ(その12)

 私が本記事群の執筆を開始した昨年8月以降、持ち運びができることを主眼に置いた防災セットがいくつか発売されている。いちいち自分で揃えるのが面倒だと考える向きはこういったものを用意しておくとよいのではないだろうか。

ポーチサイズなのにパワフル 超コンパクト防災セット 福袋セットポーチサイズなのにパワフル 超コンパクト防災セット 福袋セット

 上写真は500mlペットボトルと簡易浄水器、エマージェンシーブランケット、ドロップスのセット。怪我をした場合や閉じ込められた場合はまったく想定されていないが、とりあえず水と糖分を確保するためのセット、といったところか。しかしドロップスだけで長距離を歩くことは難しいと思うので、別途カロリー補給用の食料を用意する必要がある。

帰宅困難者の為の超簡易セット(外出用防災セット)帰宅困難者の為の超簡易セット(外出用防災セット)
 
 水と食糧だけでは心配な場合はこれを追加するとよい。ホイッスルとコンパス、ライト付きラジオ、イヤホンをカラビナに吊るすことができる。だが不思議なことに、上二者には同一の物品が存在しない。同じ帰宅難民用と銘打ってはいても設計思想には大きな違いがあるようだ。「超コンパクト防災セット」は必要な栄養を確保するため、「超簡易セット」は安全確保と情報収集のために考案されたものと考えられる。従って、上の二製品を併用することが望ましい。

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 こんなユニークな製品もある。非常時に必要な物品がすべてポリエチレン製の水筒に入っており、携帯するのに非常に便利だ。水筒を使うときは中身をスタッフバッグなどに移し替えれば問題ない。容積には少々余裕があるので、チョコバーなどの食料も入れることができる。私は、これが8月頃に発売されていれば買っていただろう。

 私が書いた記事の影響かどうかは定かではないが、こうした製品は少しずつ増えてきているように思える。しかし、携帯型の防災セットを準備して災害に遭遇した場合、周りの人から過度に頼られてしまう可能性がある。医薬品や食糧には限りがあるし、簡単に他人には貸すことのできないものもある。そんなときには恐縮しつつ断る以外にないのだが、周りの人々の精神状態あるいは健康状態によってはその後の人間関係に支障をきたす恐れもある。防災セットを常に携帯するには徹底した軽量化を図らなければならないが、そのためには余分なものを削る必要がある。つまり携帯型の防災セットには余裕がない。換言すれば、自分一人が助かる程度の能力しかない。
 
 この問題を解決するには、全員がこの防災セットを携帯することが必要になる。私は、自分一人が助かる程度の準備を全員がしていれば全員が助かると考えている。だからこの記事を見ている方々には、是非周りに紹介していただきたい。全員で生き延びるために。


01/13追記
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posted by 火銛 at 22:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月08日

探せ!ハイドロコロイド

 携帯防災のすすめ(その1)で閉鎖湿潤療法について紹介したが、これを応用した製品がすでに「バンドエイド キズパワーパッド」として発売されている。湿潤療法を応用しているだけあってその効果は大いに期待できるが、従来の絆創膏と比べて高価で(大判6枚入りで780円程度)、手軽に使うには躊躇してしまう。

 バンドエイドのほかにもアルケア株式会社が発売している「リガードスキンケア」という製品がある。元々は摩擦などから皮膚を保護するための製品だが、バンドエイドと同じ材料が使われており、傷の保護にも使用することができる。価格はサイズが最も大きい「ワイド」が6枚入りで720円程度とバンドエイドより少々安価で、しかも広い面積を覆うことができる。しかしこの製品は取り扱っている店舗が非常に少なく、今のところ東京都内近辺ではICI石井スポーツ本店のみが確認されている。

 携帯防災のすすめ(その1)を執筆した当時、私は閉鎖湿潤療法に関していまだ認知度が低いことからその効用を疑問視していたが、実際に皮膚炎の治療に試してみたところ、傷の治りが通常より明らかに早かった。このときは普通のラップを被服に使用したが、定期的な交換を怠ると体質によってはかぶれることがあるようだ。ラップを持ち歩くのはCMだけにしておきたいが、ハイドロコロイド素材を利用すれば外出先で傷を負ったときも早く直すことができ、しかも痕が残りにくい。問題の価格は需要が増えればいずれ下がるので、今のうちから買っておきたいと思う。


リガードスキンケアーワイドリガードスキンケアーワイド
posted by 火銛 at 22:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月01日

今年の目標など

 新年明けましておめでとうございます。12月は更新が少なくて申し訳ありませんでした。ほったらかしたままの「携帯防災のすすめ」ですが、今年前半のうちには完結する予定です。今のところは経済性評価のところで行き詰っていまして、どう書くべきかを考えあぐねている状況です。

 このブログも気がついたら1日30人程度のアクセスがあり、始めた頃に比べたら3倍くらいに増えました。時々寄せられる皆様のコメントやトラックバックには毎回勇気付けられています。ただ、最近は理由の分からないトラックバックが何件かあるのでその辺は少々疑問なのですが。

 ともあれ、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
posted by 火銛 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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